あなたは今、賃貸に住んでいますか?
それとも、持家に住んでいますか?
賃貸に住んでいる人は、住宅の購入を検討していますか?
以前から持家派VS賃貸派という論争がありますが、結論としては、本人がどのようなライフプランとどのようなファイナンシャルプランニングをイメージしているか次第いうことではないでしょうか。
今回は、どっちが良いかというよりは、どのような考え方があるか、ということでさまざまな考え方を記事にしてみましたので、それに対して自分はどう考えるか、といことを考えるための参考にしていただければと思います。

かつて、高度成長期の時代、国民に頑張って働いてもらうために、日本が国家を挙げて持ち家を推奨した経緯があり、日本人は持家志向の人が多かったようですが、近年になりそういった風潮は薄れつつあります。
ある調査によると、近年、若者のマイホーム離れが進んでいるというデータもあるようです。
まずは、賃貸と持家のメリットとデメリットについて考えてみましょう
賃貸のメリットとデメリット
メリット
- 転勤、転職の際に職場の近く等に住み替えることが可能。
- アウトドア好きにはたまらない、スキー場やキャンプ場の近くにある物件や、海の見えるところ、夕日のきれいなところなど憧れのロケーションの物件に、物件とお金さえあれば気分に合わせて全国どこにでも住み替えることが可能。
- 独身時代は1K・1Rに住んで、結婚したら1LDKに引っ越し、さらに子供ができたら2LDK以上に引っ越すなど、家族構成にあった間取りに合理的に変えていける。また、収入が少ないうちは賃料の安いところに住むが、収入が上がればグレードアップさせるなど、収入に見合った支出に自分でコントロールすることも可能。
- 子供がいる人の場合は、希望の学区で物件を選ぶことができる。(持家でもできるが、賃貸の場合はローコストで実現可能)
- 持家の場合にかかる固定資産税、都市計画税や不動産購入時の不動産取得税、登録免許税などの税金が賃貸の場合かからない。
- エアコンなどの設備品が経年劣化で故障した場合、貸主に修繕する義務があるため、入居者の費用負担が原則ない。
- 新築物件から新築物件に引っ越すなど、コストはかかるが何度でも新築に住むことが可能。
- 地域性にもよるが、自治会の活動やご近所付き合いは、ほどほどで良い。
- 近隣の住民とのトラブル、ストーカー被害など、何かあっても引っ越せば解決できる場合もある。
- 住宅ローンを組まなくて良い。すなわち、「住宅ローンを返済するための人生」に方向づけられることがない。また銀行に対して払うコスト(利息等)がかからない。
- 老朽化による建て替えを行う際、取壊し費用が掛からない。
- 火災保険料を抑えられる場合がある。
デメリット
- 下記の、持家のメリットを得ることができない。
持家のメリットとデメリット
メリット
- 自分の城を持てる。(心理的な昂揚感や充足感を得られる)
- 住宅ローンを完済後固定費を抑えられて、リタイヤ後も安心。
- 老後は、賃貸が借りにくくなる傾向にあるが、持家があればその心配はない。
- 注文住宅の場合、ある程度自分で好みの間取りにすることができる。
- 家を所有しているということが信頼につながることもある。
- 賃貸の場合、ペット飼育不可や、造作工事禁止など契約上の制限を受けることがあるが、持家の場合は常識の範囲内である程度自由にできる。
- 地域性にもよるが、貸すことも、売ることもできる。(市街化調整区域の場合は原則不可なので注意が必要)
デメリット
- 上記の、賃貸のメリットを得ることができない。
持家は本当に「資産」なのか
賃貸の場合は家賃を払い続けていても、自分の資産にはならないということに対して、持家は自分の資産になる、という意見の方も多いですよね。
そもそも資産とは何のことをいうのでしょうか。
資産を辞書で引くと
土地・家屋・金銭などの財産。法律で、資本にすることができる財産。
(Oxford Languagesの定義)
とあります。
資産の反対語である負債はどうでしょうか。
他から金銭や物資を借りること。その借りたもの。また、債務。
(Oxford Languagesの定義)
とあります。
では、辞書で引いた、資産と負債を以下の場合で当てはめてみましょう。
例えば、3,500万円の住宅を500万円頭金で支払い、3,000万円を住宅ローンで支払う場合はどうでしょう。
3,500万円の資産を手にすることはできましたが、内3,000万円は、毎月金融機関に返済していかなくてはなりませんので、負債となります。
住宅ローンの返済が進むにつれ、負債は少なくなりますが、建築時からの時間の経過により、住宅の価値も減損していきます。
住宅ローンを完済した時には、建物が老朽化し資産としての価値がほとんどなくなってしまっていた、なんていうこともあり得る話ですね。
注意して考えなくてはならないことは、賃貸住宅の場合、「お金を借りずに、建物を借りる」ということですが、持家の場合でも住宅ローンを組んだ場合だと「建物を借りずに、お金を借りる」ということで、どちらにせよ借りていることには違いがないということです。
余談ですが、住宅は住宅ローンを組んで購入した場合でも、登記簿上の所有者は原則住宅を購入した人になるので、自分のものになったという事で間違いなのですが、万が一住宅ローンの返済が滞ってしまうと、融資をしてくれた金融機関に住宅を取り上げられてしまい、最悪売却されてしまうので、実際には住宅ローンを完済するまでは、本当の意味で自分のものになったという気分を持てないという考え方の方も一定数おられるかと思われます。私も、住宅ローンを返済するまでは自分のものになったという気分を持てないタイプです。
では、住宅ローンを組まずに現金で住宅を購入した場合はどうなるのでしょうか。
「建物もお金も借りない」という選択肢です。
先ほどの3,500万円の住宅を購入した場合の例えで比較してみると、3,500万円の住宅をすべて手持ちの現金で購入し、3,500万円の資産を手に入れたことになりますので、3,500万円の現金がなくなり、3,500万円の住宅という資産を手に入れた状態、つまり、総資産は変わらず、ということになります。
しかしその場合においても、住宅の価値は、建築時から時間の経過により減損していきますので、資産は減っていくということになります。
また、世界的ロングセラーとなった、ロバート・キヨサキ著「金持ち父さん 貧乏父さん」では、資産についてユニークな指摘をしています。
資産とは、あなたのポケットにお金を入れてくれるもの(キャッシュを生むもの)
ロバート・キヨサキ著「金持ち父さん 貧乏父さん」 より抜粋
負債とは、あなたのポケットからお金を奪っていくもの(キャッシュを浪費するもの)
そして、自宅の購入こそがお金の浪費の代表格だとしています。
では、彼がいう資産とは何でしょうか。
それは、株・債券・投資信託・賃貸不動産等をいいます。
そして、若いうちからそれらの資産をなるべく多く持てと。
つまり、自宅の購入により、負債を持ってしまったことで、資産を購入する余裕がなくなる。
資産が少ないのに負債が多い、つまりそれは貧乏人に突き進むことであるという指摘であるということです。
私も影響を受けた本なのですが、このような考え方があるという事もしっかりと認識しておく必要があると思います。